
一眼カメラのマニュアル撮影には、「絞り優先モード」、「シャッタースピード優先モード」「プログラムオート」、「マニュアルモード」の4種類があります。その中でも、「絞り優先モード」と「シャッタースピード優先モード」はオート撮影から卒業するのに最適な撮影モードになります。
絞り優先モードもシャッタースピード優先モードも、前回記事にした絞り値、シャッタースピード、ISO感度のそれぞれの役割を理解すれば簡単に撮影する事ができます。
今回、お話しする絞り優先モードを使うと被写界深度を変えながら、写真全体にピントが合っているような写真や背景をぼかして被写体を浮かび上がらせるような写真を簡単に撮れるようになります。
この記事がオススメな人
- オート撮影をしている人
- マニュアル撮影を難しいと思っている人
- 背景をぼかした写真を撮りたい思っている人
- 写真全体にピントが合っている写真を撮りたい人
絞り優先モードとは
絞り優先モードとは、絞り値とISO感度を自分で決めてシャッタースピードをカメラで自動で決めるモードです。シャッタースピードをカメラで決めてくれるので、被写体によって絞り値を小さくするか大きくするか決めればいいわけです。
例えば森の中で絞り値をF11で風景撮影しようとしているとします。森の中は暗くISO感度を下げて撮影した時は、シャッタースピードが遅く手ブレをしてしまうことがあります。絞り値を変えないでシャッタースピードを速くしたい時は、ISO感度を上げてシャッタースピードを速くします。
絞り優先モードが得意な被写体は、風景や花や人物などです。風景は絞り値を変えてピントが合っている範囲を広くし、花や人物は絞り値を小さくして背景をぼかした写真を撮るのに適しています。
絞りとシャッタースピード、ISO感度の関係
次に、絞り値を変えるとシャッタースピードとISO感度がどのように変わるか説明します。ここでは、ISO感度の数値を固定しての撮影を前提としています。
1絞り値をF2.8からF4に変えた場合
絞り値をF2.8からF4に大きくした場合は撮像素子に当たる光の量が少なくなったので、カメラが自動的にシャッタースピードを遅くして撮像素子に当たる光の量を調整します。この時、シャッタースピードが遅く手ブレなどを引き起こす場合は、ISO感度を上げてシャッタースピードを速くします。
2絞り値をF4からF2.8に変えた場合
今度は、逆に絞り値をF4からF2.8に小さくした場合です。今度は、撮像素子に当たる光の量が多くなったので、カメラが自動的にシャッタースピードを速くして撮像素子に当たる光の量を調整します。この時、シャッタースピードが速くて撮影できない場合は、ISO感度を下げてシャッタースピードを遅くします。(こういう場面は、ほとんど無いとは思いますが)
絞り値を変えて被写界深度をコントロールする
上の写真は、今年のお正月に東京ディズニーランドに行ったときにシンデレラ城を撮影した写真です。絞り値をF9で撮影してシンデレラ城全体にピントが合うようにしました。ピントが合う範囲が広いことを「被写界深度が深い」と言います。
風景や建築物を撮影する時に、絞り値を大きくして撮影すれば被写界深度が深い写真を撮ることができます。
上の写真は、今年の5月に信州花フェスタの会場でチューリップを撮影した時の写真です。絞り値をF4にして左側のチューリップにピントを合わせて撮影しました。後ろの方のチューリップが程よくボケているのがお分かりいただけると思います。ピントが合っている範囲が狭いことを「被写界深度が浅い」と言います。
上の写真ではF4で撮影して、背景がぼけてもチューリップ畑であることが分かるように撮影しましたが、F1.8など小さい絞り値で撮影したら、背景がボケ過ぎてどこで撮影した写真が分からない写真になります。自分の表現したい物によって背景のぼかし具合が変わってくるので、慣れないうちは色々な絞り値で撮影するのがいいと思います。
花や人物など、背景をぼかして被写体を浮かび上がらせたい時に、絞り値を小さくして撮影すれば被写界深度が浅い写真を撮ることができます。
絞り優先モードの設定方法
絞り優先モードは、AまたはAvで表記されます。(Avは、キヤノンが使っています)上の写真はニコンのZ6の写真ですが、本体の左上(写真では右側)にあるモード選択ダイヤルをAの位置に合わせます。合わせる位置はAの左側に白い印があるのですが、そこに合わせます。写真の状態になれば、絞り優先モードに設定されています。
一部の上級機は、モード選択ダイヤルが無いので注意してください。ニコンでは、D5、D850、D500でモードダイヤルがありません。モード選択ダイヤルの代わりにMODEボタンがあるので、MODEボタンを押しながらダイヤルを回して肩液晶を見ながらAに設定します。
慣れないうちはISOオートで撮影した方がいい
絞り値を自分で決めて撮影する絞り優先モードですが、ISO感度は自分で決めるかカメラで自動で決めてもらうか選択することができます。ISOを固定して撮影していると、絞り値を変えた時に写真が明るくなったり暗くなったりすることがあります。
絞り優先モードでの撮影に慣れていないうちは、ISO感度を自動設定にした方がシャッターチャンスを逃しません。風景撮影などで形のいい雲が流れていた時などに、露出を変えている間に雲が無くなってしまうかもしれません。ISO感度を自動にしていると、意図しない高いISO感度になってしまうことがありますが、シャッターチャンスを逃すよりはいいと思います。
低いISO感度で撮影したい時は、露出補正をする必要があります。
露出補正のやり方
ニコンのZ6を例に説明いたします。ほとんどの機種に露出を変えるボタンがあります。写真のように+と-が表記されているのがほとんどです。その露出を変えるボタンを押しながら、リアダイヤルを回すと露出メーターが+側に伸びたり、-側に伸びたりします。写真を明るくしたい時は+側に、写真を暗くしたい時は-側にメーターが行くようにします。ファインダーを覗きながら、露出補正をできる機種もあります。
まとめ
絞り値を小さくすると被写界深度が深い写真になり、全体にピントが合っている写真を撮ることができる。
絞り値を大きくすると被写界深度が浅い写真になり、ピントが合っている範囲が狭い写真になる。
基本的な事は、上の2つのことを押さえておけばいいと思います。絞り値を変える事によって、どういう風にシャッタースピードとISO感度が変わるのか。まずは、絞り優先モードで色々設定を変えながら、たくさんシャッターを切ってください。
習うより慣れよではないですが、シャッターを切って撮った写真を確認する。これが、絞り優先モードを理解する一番の近道だと思います。絞り優先モードで撮影して被写界深度を理解したら、次はシャッタースピード優先モードで動体撮影にチャレンジしてみてください。野鳥や飛行機や電車など、魅力的な被写体がたくさんあります。