
一眼レフやミラーレスカメラを購入して、オートで撮影してはいないでしょうか。せっかく高いお金を払って一眼カメラを買ったのにオートで撮影していると、カメラの性能を十分に発揮できていません。また、自分の意図した撮影ができません。
絞り、シャッタースピード、ISOの関係を理解して、それぞれの役割を理解すれば写真表現の幅が広がり、写真撮影がより楽しくなります。今回は、カメラを始めてオートで撮影している人やカメラを始めようか迷っている人に絞り、シャッタースピード、ISOの役割と関係性について書いていきたいと思います。
絞り値とは、レンズを通って撮像素子上に写る像の明るさのことです。絞り値はF1.4、F2、F2.8、F4、F5.6、F8、F11、F16、F22、F32のように表されます。
絞り値を変えると、絞りの開き具合が変わり、レンズを通る光の量が変わります。例えば絞り値をF4からF5.6に変えると、レンズを通る光の量は半分に減り、撮像素子上に写る像も半分の明るさになります。
絞り値を変えると、ピントが合って見える範囲も変わります。絞り値を大きくするほど、ピントの合っている部分の前後もピントが合っているように見えます。風景撮影などで主に使われます。上の写真は、真ん中の馬にピントを合わせてF11で撮影しています。上と下にあるイノシシがそんなにボケていませんので、ピントが合っている範囲が広いことが解ります。
絞り値を小さくするほどピントの合って見える範囲は狭くなります。花など被写体を浮かび上がらせたい時などに使われます。上の写真は、F1.8で撮影した写真です。ピントを合わせた馬にしかピントが合っていないのが分かりますので、ピントの合っている範囲が狭いことが解ります。F11で撮影した写真と比べてみてください。
ピントを合わせた位置に対して、その前後のピントが合っているように見える範囲を「被写界深度」といいます。
絞り値を大きくするとシャッタースピードとISOはどう変わるか
絞り値を1段大きくすると、絞りの開口部の面積が1/2になり、撮像素子上に写る像の明るさが1/2になります。そのため絞り値を大きくする前と同じシャッタースピードとISO感度だと、撮像素子に写る像の明るさが1/2になるため暗い写真になってしまいます。
適正な明るさの写真にするために、シャッタースピードを遅くするかISO感度を高くして、撮像素子に当たる光の量を絞り値を大きくする前と同じにしなければなりません。
POINT
絞り値を小さくするとシャッタースピードとISOはどう変わるか
絞り値を小さくすると、絞りの開口部の面積が2倍になり、撮像素子に写る像の明るさが2倍になります。そのため絞り値を小さくする前と同じシャッタースピードとISO感度だと、撮像素子に写る像の明るさが2倍になるため明るい写真になってしまいます。
適正な明るさの写真にするために、シャッタースピードを速くするかISO感度を低くして、撮像素子に当たる光の量を絞り値を小さくする前と同じにしなければなりません。
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シャッタースピードとは
シャッタースピードとは、シャッターが開いている時間のことです。シャッタースピードは、1秒、1/2秒、1/4秒・・・1/250秒、1/500秒のように表します。
シャッタースピードを速くすると、光が撮像素子にあたる時間は短くなり、シャッタースピードを遅くすると、光が撮像素子にあたる時間は長くなります。
また、シャッタースピードを変えると、動いている被写体の写り方が変わります。シャッタースピードが速いと、動いている被写体を止めて写せますが、シャッタースピードが遅いとシャッターが開いている間にカメラが動いて手ブレを起こしたり、被写体が動いて被写体ブレになったりします。
つまり、シャッタースピードが速いほど動いている被写体をブラさずに写し止めることができ、手ブレも抑えることができます。逆に、シャッタースピードを遅くすることで、野鳥の羽ばたきなど被写体の動きを表現することができます。
シャッタースピードを1/60秒から1/125秒に変えるように、速い方向に1段変えることを、「シャッタースピードを1段速くする」といい、シャッターが開いている時間は1/2になります。逆に、シャッタースピードを1/125秒から1/60秒に変えるように、遅い方向に1段変えることを、「シャッタースピードを1段遅くする」といい、シャッターが開いている時間は2倍になります。
上の写真は、シャッタースピードを1/1600秒で撮影した写真です。プロペラが止まって写り動きが感じられない写真となってしまいました。手ブレを気にしてシャッタースピードを速くした結果です。
一方、シャッタースピードを1/40秒で撮影した写真です。プロペラがブレて写り動きが表現できています。背景もブレているのでヘリコプターの動きも表現できています。シャッタースピードを変えることで、ここまで動きの表現が変わります。
シャッタースピードを1段速くすると絞りとISOはどう変わるか
シャッタースピードを1段速くすると、シャッターが開いている時間が1/2になるので、絞り値とISO感度の設定を変えないと写真が暗くなります。そのため、適正な露出を得るために、絞り値を小さくするかISO感度を高くして撮像素子に光があたる時間を調整します。
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シャッタースピードを1段遅くすると絞りとISOはどう変わるか
シャッタースピードを1段遅くすると、シャッターが開いている時間が2倍になるので、絞り値とISO感度の設定を変えないと写真が明るくなります。そのため、適正な露出を得るために、絞り値を大きくするかISO感度を低くして撮像素子に光があたる時間を調整します。
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ISO感度をとは
デジタルカメラの場合、ISO感度とはカメラが光を捉える能力を表す値です。
デジタルカメラは、撮像素子に当たった光を電気信号に変えて処理します。ISO感度を2倍にすると電気信号も2倍になります。ISO感度を2倍にすると撮像素子に当たる光の量が半分で適性露出になります。
つまり、ISO感度をISO100からISO200に上げると、同じ絞り値であれば2倍速いシャッタースピードで撮影できます。ISO200からISO400に上げた場合も同様です。
暗い室内などではシャッタースピードが遅く、手ブレや被写体ブレが発生してしまうことがあります。しかし、ISO感度を上げれば、シャッタースピードを速くしてブレを抑えることができます。
ISO感度を上げるとノイズが発生することがある
ISO感度を上げるとシャッタースピードを速くできるため、手ブレや被写体ブレを防ぐことができます。しかし、ISO感度を上げると写真にノイズが発生することがあります。
ISO感度を上げるという事は、電気信号を増幅することです。信号が増幅されるときにノイズも増幅されるため、ISO感度を上げるほどノイズが増え、ざらつきが目立ってきます。これは、どのデジタルカメラでも同じように起こることですが、センサーサイズの大きいカメラ程、ノイズに発生は抑えられる傾向にあります。
ブレなどを防ぐために必要であればISO感度を上げる。必要がなければISO感度は上げすぎない事をおすすめします。
ニコンのZ6でISO400で撮影した写真です。ノイズがほとんど感じられない写真です。
一方、ISO25600で撮影した写真です。ISO400で撮影した写真と比べると、はっきりとノイズが確認できます。ただ、Z6の好感度耐性はいいので、ISO25600の写真にしてはノイズが少ないと思います。夜景撮影などで、ISO感度を上げて手持ちで撮影することが可能です。
まとめ
撮影した写真が適性露出になるための絞り値、シャッタースピード、ISOの関係を見てみましょう。
絞り値、シャッタースピード、ISOの関係
カメラの設定を変えた行動 | 適性露出にする為に変える設定 | |
絞り値を小さくした場合 | シャッタースピードを遅くする | ISO感度を下げる |
絞り値を大きくした場合 | シャッタースピードを速くする | ISO感度を上げる |
シャッタースピードを速くした場合 | 絞り値を大きくする | ISO感度を上げる |
シャッタースピードを遅くした場合 | 絞り値を小さくする | ISO感度を下げる |
ISO感度を下げた場合 | 絞り値が大きくなる | シャッタースピードが遅くなる |
ISO感度を上げた場合 | 絞り値が小さくなる | シャッタースピードが速くなる |
表の見方 横に見てください。一番上の例でたとえると