
昨年7月にニコン D5を購入してから野鳥撮影を中心に楽しんできました。野鳥撮影の他は花や風景、飛行機、電車など身近な被写体の撮影を楽しんでいます。ミラーレスカメラのZ6も持っているのですが、携帯性の悪いD5をもっぱら持ち出しています。
どうしてZ6じゃなくD5を持ち出して撮影するのか。それは、D5がカメラとして完成されていて持ち出したくなるカメラだと言うことです。D5より画素数が多いのと携帯性がいいので、風景撮影などではD5よりもZ6の方が向いているのは事実だと思います。
しかし、Z6で撮影に出かけたのは10日もなかったと思います。Z6も良いカメラですが、昨年の9月以降はD5が僕の相棒となりZ6はドライボックスの中に待機していることが多くなりました。
今回は、半年使ってみて改めてD5の良さを実感したのでD5のレビューを紹介したいと思います。
携帯性
D5の寸法は約160x158.5x92mm(WxHxD)、質量は約1405g(バッテリー、XQDカード2枚含む、ボディキャップ、アクセサリーシューカバー除く)です。
バッテリーグリップが一体型になっているボディなので、カメラの大きさと重さは一眼レフカメラの中ではスーパーヘビー級の部類に入ります。当然、携帯性は悪いです。ただ、D5クラスの一眼レフの購入を考えている人は携帯性は気にしていないのではないでしょうか。
D5とAF-S NIKKOR 200-500mm f5.6/E ED VRを装着した時の携帯性
D5にAF-S NIKKOR 200-500mm f5.6/E ED VRを装着した時の質量は約3.9kgになります。何とか手持ちでも撮影できますが、やっぱり長時間の手持ち撮影はきついです。
D5に200-500mmを手持ちで撮影する時は、Z6と200-500mmの記事でも紹介したキャリースピードのストラップを付けて撮影しています。ショルダー型のストラップなので、重さも感じることもなく歩いての移動も楽にできます。
また、D5に200-500mmを装着したまま収納できるカメラバックもそんなにありません。一眼レフと超望遠レンズを収納できるカメラバックは2万円を越える物ばかりです。これからD5と望遠レンズでの撮影を考えている人は、何に入れて移動するのか考えておくことをおすすめします。
画質
D5の有効画素数は2082万画素です。風景撮影ではD5より画素数の多いD850の方が向いていると言われることが多いですが、A3サイズまでしか印刷することのない僕の用途ではD5の2082万画素でも十分です。
5DM4の約3000万画素が僕が使っていた最高画素数のカメラなのですが、D5の2082万画素と比べても遜色ないです。同じ風景写真を見せられてどちらかD5か5DM4で撮影したか問われても解らないと思います。
D5で撮影した上高地の写真です。2082万画素でも十分な描写です。
一つD850が羨ましく思うのが、トリミング耐性が高いことです。D850は1.5倍のクロップ撮影をしても約2000万画素を確保できるのに対して、D5は約1000万画素まで画素数が下がってしまいます。遠くの野鳥を撮影する時によくクロップ撮影をするのですが、D5ももう少し画素数があればなと思うことがあります。
クロップ撮影とトリミング、どちらかいいのか正直言って分からない状況です。
高感度画質
D5の常用ISO感度は100から102400です。拡張で3280000相当の増感が可能です。さすがに3280000まで増感すると白っぽく写り緊急用としてしか使えませんが、通常使用だと25600までは十分に観賞に耐えうる画質です。
僕は野鳥撮影の時は、ISOはオートに設定し上限を25600に設定しています。曇りの日や夕方などシャッタースピードを遅くして撮影したくない時に非常に重宝しています。ISOが25600まで使えるのは撮影の幅を広げてくれます。
ファインダー
D5の視野率は上下左右とも約100%、倍率は0.72倍です。ファインダーを覗くと非常に見やすいクリアーな視界が広がります。また、ファインダー内の情報は有機EL表示素子が採用されており、明るい屋外でも大変見やすいです。ファインダーで被写体を見ながら、カメラ設定などを同時に確認することができます。
ファインダー接眼レンズにはフッ素コートが採用されており、埃や指紋などの汚れが付着しにくく、仮に付着してもクリーニングクロスなどで簡単に拭き取ることができます。
一つ不満があるとしたら、ファインダー内に水準器を表示させた時に、どこにAFを合わせたのか解らなくなることです。ファインダーの中央に水準器が表示されAFポイントが消えてしまいます。5DM4ではそんなことはなかったので、この仕様には残念で仕方ありませんでした。
操作性
ボディが大きいこともあり操作性は良好です。ISO、露出、連写枚数、画質モード、ホワイトバランスなど直感的に操作して変更することができます。ボディサイズの小さいZ6では全ての設定変更を瞬時に行う事は難しいです。
また、カスタムボタンで自分の良く使う機能を割り当てることができ、自分好みのカメラにすることができます。カスタムボタンは、PVボタンとFnボタンが3ヵ所あり、計4ヵ所に割り当てることができます。
夜景撮影時など暗い場所でも操作しやすいようにボタンイルミネーションが使えます。もちろん、日中など使わない時はイルミネーション機能をOFFにできます。
AF性能
それでは、D5の一番の売りであるAF性能を見ていきましょう。
AFの合う速さ
被写体にピントが合う速さは今まで使ってきた一眼レフと比べて頭一つ飛び抜けている印象です。AFボタンを押した瞬間にピントが合う感じです。キヤノンの1DX2は使ったことがないので比較できませんが、D500や7DM2と比べてもAF性能は1ランク上のレベルだと言えます。
風景写真などで遠景から近くの被写体にピントを合わせる時などは少し時間がかかることもありますが、レンズの性能にも左右されるので仕方のない面もあるかもしれません。
AF追従性能
次は動体撮影でのAF追従性能(AF-C)についてです。この追従性能についても一度、ピントが合ったら食いついてAFポイントに追従させることができればピントを外すことはありません。万一、追従することができなくピントを外しても、AFポイントに被写体を再び捉えるとすぐピントが合い追従し続けます。
AF-Cで被写体を追う時は、グループ9点AFかグループ25点AFを使うことをおすすめします。被写体を広いAFポイントで追うことができるので、AFを外すリスクを減らすことができます。9点より25点の方が追う範囲が広くなりますが、意図した場所にAFが合いづらくなります。被写体によって使い分け、僕は野鳥を撮影する時はグループ25点AFを使い、スポーツ撮影の時はグループ9点AFを使っています。
5DM4ではなかなか撮れなかった鴨の飛翔シーンですが、D5だと簡単に撮影できました。AFの追従性もよく被写体にくいついてくれます。この写真はグループ25点AFで撮影しています。
暗い場所でのAF性能
D5は低輝度下-4EV(中央フォーカス)、その他のフォーカスポイントは-3EVを達成しています。暗い場所や低コントラストの被写体でもAFが可能です。
外灯のみの暗い場所で撮影したことがありますが、AFの迷いもなく素早くピントが合いました。
連写性能
D5はAF/AE追従で約12コマ秒の連写が可能です。野鳥撮影やスポーツ撮影などで決定的な瞬間を撮れることが多くなりました。また、14ビットのRAW撮影でも最大200コマ連写できるので、バッファ詰まりを起こすこともなく快適に撮影することができます。
また、高速連写時の動体の追いかけやすさですが、野鳥の飛翔シーンで最初は追いかけずらいと感じましたが、慣れると違和感なく追いかけることができます。高速連写は10コマから12コマで選べるので、慣れないうちは10コマから始めるといいかもしれません。10コマ秒でも十分な速さです。
D5の12コマ秒の連写で高校野球を撮影。バットにボールが当たる瞬間を見事に捉えています。この写真はグループ9点AFで撮影しています。
バッテリー性能
D5で使っているEN-EL18a/EN-18bのバッテリーは1回の充電で約3780枚撮ることができます。実際の使用では、撮影後に画像確認や設定変更を頻繫にすることもあり、2000枚ぐらいしかもちません。それでも、十分すぎる撮影可能枚数だと思っています。
バッテリー性能での不満を一つ挙げるとすれば、バッテリーを満充電にして2週間ぐらい使わないでいると放電して90%ぐらいまで残量が減っていることです。ある程度の放電は仕方ないとは思いますが、2週間で10%も減るのはどうなのかなと感じています。
参考までにEN-EL18bのバッテリーは、D850などに使われている物より2回りぐらい大きく、価格も高いです。予備バッテリーを購入すると17000円ほどかかりますが、一日ぐらいの撮影でしたら予備バッテリーは必要ないと思います。
耐久性
D5のシャッター耐久回数は40万回です。僕は月に2000回ぐらいしかシャッターを切らないので、約16年使える計算になりますが、その前に電気系統がダメになりそうです。今の使用頻度だと10年は使えそうなので、最低10年は使ってD5の後継機種と超望遠単焦点レンズを購入する為に貯金をしていきたいです。
また、ボディの剛性もずっしりとした重みがあり、多少のことではビクともしないです。マグネシウム合金を使用しており、高い剛性と耐久性を保っているので多少のことではビクともしないのは納得できます。
防塵防滴性能もあり、悪天候でも安心して撮影することができます。
まとめ
D5を半年使用した使用感などのレビューをまとめてみました。さすがニコンのフラグシップ機だけあって、満足度の高い物となっております。このレビューではほんの一部しかレビューしていませんが、D5にはまだまだ素晴らしい機能がたくさんあります。
今年の2月にはD6の発表が噂されています。D6が発売されるとD5は旧型機となり価格が下がることが予想されます。D6がどのようなスペックで発売されるか現時点では分かりませんが、D5の性能で十分だと思います。
ニコンのフラグシップ機の購入を検討している人は、価格の高いD6より現時点でも性能十分なD5を購入してこのレビューで書ききれなかった性能を試してみてください。